2015年04月
2015年04月24日
今週から民藝メーカーさんに何社かアプローチをかけ始めたが





皆さん一様に手一杯という答え。
工芸品でもまぁたまにあったが、
民藝品に関してはかなりの確率。
既に柳さんが民藝と認めたものも
いくつか扱わせていただいており、
ご丁寧に対応いただいていつも感謝しているが、
生産量の問題がある。
はさみ焼きのもりまさひろさんはおっしゃったが、
商品は量産品でなければならないということは、
販売店としてはまさにその通りだと思う。
昔テレビで、日本マクドナルドの元社長が
たくさん並ばせている堂島ロールの映像を見て、
半分呆れ気味に、商売というのは
いかにお客様が並ばなくても良いように考えることだとおっしゃっていた。
本当にこの意見には賛成。
どことは言わないが、
メーカーさんによってはたくさん仕入れの要望があるのは分かるが、
かなり横柄な断り方をされたりする。
妻がたいそうショックを受けていた。
こちらがお金を払って仕入れたいと言っているのに、
間に合ってるから、とうんざりした声で言われても、
じゃあどうして長年の販売店やお客様のご要望通り、
商品が行き渡らないように努力しないんだと思う。
自分たちだけがリスクなく食べられたらOKと思われているとしたら、
根本的に商売の考え方が我々と異なると言わざるを得ない。
それこそ、仕事というものが社会の一部として
人々のお役に立てられるものという意識が足りないのではないか。
もし職人と言うより作家に近いと感じる人が多いのなら、
柳さんによる、作家性を持たないという民藝の定義から既に外れている。
柳宗悦さんが認めた民藝と言っても、
要するに100年前の個人的なセレクトであり、
それに認められたからと言って
同じスタイルを盲目的に踏襲することだけが大事と思い込んでいるとしたら
思考停止状態と言ってもいい。
そんな視野の狭いところには全く将来性を感じないし、
そんなところが新しく何かを生み出すとは思えない。
言うまでもなく、時代は変わっているし、
お客様のご要望も常に変わり続けている。
とらやの社長が、500年も変わらずにやってこられて凄いですねと言われ、
とんでもない、500年間変わり続けてきたからやってこれたのですと答えたのは有名な話だ。
柳宗悦さんが「民藝」という言葉を作られる前の
民藝の本来の役割とは、現代の時代に合った物作り。
これは民藝、これは民藝ではないなど、
柳さんの個人セレクションは確かにかなり好きだが、
その発想からは新しい民藝は生まれない。
職人.comは民藝店にはならない。
もちろん個人的に感性に合う素晴らしい商品が多いので、
扱える民藝品は可能な限り扱いたいが、
基本的には民藝の精神や感性を、セレクトや製作に活かしていく。
それが唯一新しいこれからの民藝を作ることに繋がると思うからだ。
また、今残っている民藝だけを販売しても、
作り手を囲い込んで、
かなりうまく行っても売上は数千万しか立たないだろう。
職人.comは前期1億弱、今期は1億数千万を、
2020年には10億を目指している。
やはり現在の民藝の市場規模を考えても10億を売る店など皆無だろう。
これは脈々と続いてきた上記のような、
作り手不足やお客様や販売店の期待に応えてこなかった結果ではないだろうか。
リスクを取って生産量を増やすということは
当店の取引先は皆さんされていることだ。
もちろん当社も発送量を確保するために結構な投資をしている。
個人的な収入で言えば投資せずにそれなりの発送量で行ったほうが
リスクもないし、安定的な収入も得られる。
ただそんな幸せな小金持ちなどというくだらない自分本位な目的など
僕の人生にとっては何の価値もない。
波佐見焼は、有田焼の下請けという歴史上の経緯もあり、
謙虚な気持ちでお客様のニーズに合致する商品を次々と出していき、
生産量をどんどんと伸ばしているが、
これこそが柳さんから100年経ったあとの民藝だと思う。
当たり前のようにあるこのような商売の考え方とは
全く異なる一部の民藝メーカーさんにはかなりがっかりした。
sakuraishinya at 00:26
2015年04月19日
商品を買っては使い、本を買っては読む毎日。





今目的に向かっているからとても楽しい。
今日は雨だが、京都民藝資料館に行く。
民藝の美しさに取り憑かれてからは、
毎日調べては使ってみたり見られる場所に行ったり。
職人.comの大きな柱にしたい。
今年は民藝元年だ。
柳宗悦さんに言わせると、
民家も民藝の一部らしい。
これで納得が行った。
なぜここまで惹かれるのか。
同じ香りがするのか。
民家自体が大きな民藝品だった。
過度の装飾をせず、
用の美に徹した京都の町家に住みはや8年目。
去年からもっと大きい隣りの町家も借りている。
昨日は竹行李の大きなカゴを
櫻井という家具屋さんで1300円で買った。
あと250円のアンティークの箱。
どちらも隣りの展示スペースに。
車で送ってくださって、本当に感謝。
同じ櫻井ということで盛り上がった。
こういうものも民藝だ。
民藝の美しさに目覚めると、
ある一定の美の基準ができる。
用の美やその土地の風土や素材から作られた
意味のあるものは無条件に美しい。
ただ民藝だけではお客様にとって敷居が高い感じがするため、
売上を上げにくいのではないかと思う。
民藝の美しさに開眼するには時間がかかる。
あとは民藝にはなぜか生産量の少ないところが多くて大変扱いにくい。
やはり同じものを中量生産していける体制にならないと。
白山陶器さんの醤油さしのように。
全国の民藝店でも年商一億規模のところは
一体何社あるだろうか?
中川政七商店さんみたいに年商数十億規模に持っていくには、
山のように課題があると思う。
数十億でも決して皆に行き渡るものではない。
地方のスーパーの年商が1000億とか普通にあるので、
いかにこの工芸品業界は小さく、
その中でも民藝はさらにさらに小さいのかを思い知られる。
ちなみに職人.comが目指している売上は、
2020年10億、2030年100億、2040年1000億。
それにはどうやって商品を確保するかが課題になってくる。
大きな柱になるのはやはり市場規模が国内でも10兆円もあるアパレルだ。
服を全く買わない僕でも年間一万円は使うんだからいかに巨大かが分かる。
生活雑貨や食器をいくら合わせても10兆円には程遠い。
世界中の当社みたいな販売店が
どんどんお客様を作っていくことで、
徐々に生産量を上げていってもらうしかないだろう。
てことで夢に向かって頑張ろう。
sakuraishinya at 11:41
2015年04月17日
夜考えるとロクなことないと母に言われ続けていたが、


どうもやはりいざという時は、
夜に考えて朝に結論を出すタイプらしい。
カフェやめたときもそうだった。
クリスマスに一晩中考えて、
朝にやめようと決めた。
せっかくなので現在の悩みを書いておくか。
職人.comという店名で、
四月から外国製のものを扱い出したが、
これは正しい選択だったのかということ。
これまで通り日本製のものだけを
集めて、日本と海外に販売すれば
もっとシンプルになったんじゃないかと。
こういう思いが頭の片隅にある。
というのは、外国向けに販売するときに、
おそらく現在彼らが欲しいのは日本製であって外国製ではない。
なぜならここは日本の店だから。
外国製のものをわざわざ日本から取り寄せたら
当たり前のことだが割高になる。
だから、現在日本では国内外の工芸品を、
海外向けには日本製のみを販売している。
ちょっとバランスが悪い。
あとは知れば知るほど日本の産地が多くて、
日本だけでも手一杯なぐらいじゃないかと思えてくることだ。
充分すぎるぐらいのコンテンツを持っている世界一の工芸品国家だと思う。
ただそれで、日本のものを世界に、日本万歳!
だけでは満足しなくなり、
社名変更したのが2年弱前だった。
なぜか?それはやはり、
日本人だからできることだろ、
技術も歴史もないうちらに生まれたら、
あなた何ができるの?という反応があると思ったからだ。
確かにそう思った。
自分の国のことだけやるのが
一番結果的には刺激になるとも思っていたし、
今でもそう思うときがあるが、
おそらくそれでは世界規模で縮小している
地域の手工芸を活性化させることにはならない。
ということは僕が満足しないということになる。
満足しないことが分かっている人生を歩むことはできない。
では一体どうしたら良いのか?
日本の工芸品と並べても何ら遜色がない
海外の工芸品をこれからも販売していく。
そもそも製法も文化も違うのだから遜色も何もないのだが。
職人.comという名前で外国製を売るということに対しては、
日本人の感性で選ぶ外国製工芸品だからということにする。
それは自国にコンテンツがない人たちにもできることだろう。
その土地が培った感性で職人.comのような店を現地で作ってもらいたい。
そして、ボディショップやパタゴニアのように、
この分野において世界一理念的な価値あるオンラインショップになれたら
良い影響を与えられるかなと思う。
そのようなことが伝わるように、
外国向けにも徐々に変えていこう。
相手を理解して初めて理解してもらえるような気がする。
日本人の作るものは良い、メイドインジャパンだこの野郎!
と自分から自慢しまくってどうすると思う。
外国人のほうから褒めてくれるのなら良いが。
驕り高ぶった謎のアジア人と思われて嫌われるんじゃないだろうか。
そもそも相手は日本のことを
当然日本人より知らないし、
普通は興味もない。
何か最近の日本人は勘違いしてる人が多いね。
日本人は世界中で普通に人種差別受けるから。
謙虚さ失えば即転落というのは京セラ稲盛さんの言葉。
他国から学び続けるためにも
外国製工芸品を入れ続けるというのは大事なことだろう。
未来図としても半分以上は日本製になるだろうけど。
あと仮に日本製のみに戻したとしても
インドネシアとか次に旅するけど、
絶対に扱いたい商品が次々に出てくるのは目に見えてる。
なので、今は最高の状態だ。
よく考えた。そして書いた。寝よ。
sakuraishinya at 01:56